人外奇想天外

−人外 2nd−

−オルトロス−

 頭二つに尾が蛇の犬。
 ヘレネス神話の魔物。多くの魔物を産んだエキドナを母に持つ。
 これも首辺りの骨格がどうなってるのか、やたら気になる。

−コブラ−

 蛇ったら蛇。情け容赦なく蛇。
 間違ってもサイコガンをぶっ放したりはしない。
 とはいえ、緑や白のコブラは見たことがあるけど、赤いコブラは見たことがないんですよ。

−甲冑魚−

 脊椎などの骨が無く、頭や胴を皮骨で覆われた原始的な魚類。
 ボスリオレピスとか、ダンクレオステウスとか、甲冑魚には浪漫がある……ような気がする。
 左図はだいぶ昔に甲冑魚を知った頃から、ちょくちょく紙に落書きしてたトンデモ甲冑魚。
 脳みその片隅にコッソリと住み着いた妄想上の甲冑魚で、当然、実在しないし化石もない。

−ヒドラ−

 9つの頭を持つ危険な怪物であったが、12の功業のうちの1つとしてヘラクレスに倒された。
 ――とはいうものの、頭の数は5〜100の幅で異説があるらしい。
 100だったとしたら、頭全部刈り尽くすのは不可能だろうな、と思う。

−カプリコーン(山羊座・磨羯宮)−

 神々がナイル川沿いで宴会を開いていたところ、突然、怪物テュポンが現れ、驚いた神々は動物に姿を変えて逃げた。
 牧神パンはヤギの形になりナイル川に飛び込んだところ下半身が魚になり、その姿が大神ゼウスによって星座とされた。

 逃げるときに妙ちきりんな姿になってしまったばかりか、後世まで延々と晒され続けてるとは、パン神も不憫な……

−ピスケス(魚座・双魚宮)−

 ギリシア神話では、美の女神アプロディテとその子エロスがエリダヌス川(エリダヌス座)のそばを歩いていたところ、突然、怪物テュポンが現れ、驚いた2人は魚の形になって逃げた。
 2人ははぐれないよう、ひもをつけて逃げた。という神話がある。
 南の魚座も似たような神話だけれど、魚座の親魚のほうだというこの星座の場合、テュポンが出てきたのは山羊座の神話と同時ということになっていたりする。

−竜−

 東洋(というか中国以東)の竜。
 リュウ、リョウ、ロン、Long等々。

「竜に九似あり」とされ、角は鹿、頭は駱駝、眼は鬼(注:中国で言う「鬼」は幽霊のこと)あるいは兎、体は大蛇、腹は蜃もしくは蛟、背中の鱗は鯉、爪は鷹、掌は虎、耳は牛にそれぞれ似るという。
 また口辺に長髯をたくわえ、喉下には一尺四方の逆鱗があり、顎下に宝珠を持っていると言われる。
(Wikipedia)

 眼は兎に……というからには赤い瞳なのだろうか。
 中華思想の影響で、中国皇帝を表す竜は五本爪、朝鮮は四本爪、日本は三本爪というふうに、中国から離れるほどに爪の数が減っていくらしい。

−アホロートル−

 ナワトル語のアショロトル(Axolotl)のスペイン語読みで、マルクチサンショウウオ属全般の幼生型の個体を指して呼ぶ呼び名。
 和名は「メキシコサンショウウオ」もしくは「メキシコサラマンダー」で、ウーパールーパーは商標名。

 詳しくは「Wikipedia」などを参照していただくとして、ロートルって言葉が老頭児って書く中国語だとは、この絵を描くためにアホロートルを調べ直して初めて知りましたよ。

 というか、食用として乱獲され絶滅しかけた……って、人類の雑食性には驚かされますわ。

−エリマキトカゲ−

 トカゲ亜目・イグアナ下目・アガマ科で、英名Frill-necked Lizard・学名Chlamydosaurus kingii。
 1984年頃に大流行。

 バシリスクと並んで、二足で疾走するトカゲ。
 ただ、危険を感じたときに疾走するのであって、撮影のために脅かされていたのだとすると可哀想でもある。

−コアラ−

 オーストラリア在住の、ユーカリを主食にする有袋類。
 最近は栄養価の高いユーカリが減ってきてて難渋しているそうな。

−ジャイアントパンダ−

 中国表記だと大熊猫。
 リンリンだのランランだの、ドンドンだのファンファンだの。
 ドンドン、ファンファン、ドンファーンファン。

−レッサーパンダ−

 中国南部からヒマラヤにかけて生息する。
 ジャイアントパンダよりも先に発見され、パンダと呼ばれていた動物。
 ネコ目(食肉目)レッサーパンダ科で、アライグマに近いらしい。

 中国表記だと小熊猫。

−かわうそ−

 川獺。獺(うそ・おそ)。
 ネコ目(食肉目)イタチ科カワウソ亜科。
 日本にもニホンカワウソがいたけれど、今は絶滅しているらしい。

−河伯−

 水神。河童(かっぱ、かわわらわ等々)
 長崎や佐賀では川獺が河童の化身だと思われていたそうな。

−方相氏−

 四つの目を持ち、頭に角の生えた鬼神。
 追儺式では、これを模した呪師が、熊の皮を被り、金色の瞳を持った四つ目の面を被り、黒い衣と朱の裳を着、矛と盾を以て悪鬼を払うそうな。
 節分行事として行うことが多いけれども、古くは大晦日に行う宮中の行事だったようで。

−羚羊(かもしか)−

 ウシ目(偶蹄目) ウシ亜目(反芻亜目) ウシ科 ヤギ亜科 の、ヤギ族を除く3族、すなわち、サイガ族・シャモア族・ジャコウウシ族の哺乳動物の総称。8属10種。
 狭義には、特にシャモア族カモシカ属(シーロー属)の動物、すなわち、シーロー亜属のスマトラカモシカ(シーロー)、カモシカ亜属のニホンカモシカ、タイワンカモシカの3種を指す。(Wikipedia)

 ニホンカモシカは特別天然記念物らしい。
 殺してはいけない他、死体を見つけても届け出が必要とか何とか。

−羚羊(れいよう)−
 ローンアンテロープ

 レイヨウは頭頂部の1組の中空の角によって識別される、主にアフリカ生息するウシ科に属する草食の動物の総称。
 古くはカモシカと呼ばれることもあった。カモシカのような足のカモシカはレイヨウのこと。
 アンテロープとカモシカは、同じ牛科とはいえ属が違う。

 カモシカのような足……という語句を見て自分が想像するのは、シャモア族カモシカ属のほうのカモシカなので「ぶっといんだなー」などと思ってしまう。
 とはいえ、地上最速の動物とかいうレイヨウのほうにたとえられるのは、陸上のスプリンターなんかにとっては物凄い褒め言葉なのかも知れぬ。

−羚羊(れいよう)−
 ヌー

 オグロヌーとオジロヌーとがあり、野生のオジロヌーは現在絶滅しているそうな。
 ヌーまでレイヨウの類だとは思ってもみなかったけど、あの「胴体に対してアレで大丈夫か?」と思ってしまうような足の細さは、やっぱりレイヨウなんだなぁと思ってしまう。

−匍匐爬虫人−
 H.P.ラヴクラフト著:無名都市

 ――ときに鰐を、ときに海豹を思わせたりするものの、博物学者であれ古生物学者であれ、いまだに聞いたためしもない姿をもつ、爬虫類に属す生物だった。
 大きさはこがらな人間ほどで、前脚の先端は紛れもなく繊細な感じで広がり、奇妙なくらい人間の掌と指に似ていた。
 しかし何にもまして異様なのはその頭部だった。
 既知の生物学的原理を破る外形を示していた――

 云々と記されている怪生物。
 実際の所、ラヴクラフトが想像していた姿はどんなものだったのだろう。

−古のものども(Elder Things)−
 H.P.ラヴクラフト著:狂気の山脈にて・他

 

−シュブ=ニグラスの黒い仔山羊(Dark Young of Shub-Niggurath)−

 どことなく木に似ていて、多数の黒いひも状の触手があり、体の表面はたくさんの口に覆われ、足の先は蹄になっている――わけわかりません。
 この絵では、矢野健太郎の「ラストクリエイター」で描かれていたモノをベースにしてます。

−Byakhee−
 オーガスト・ダーレス著:永劫の探求・他

 読みはバイアキー/バイアクヘー/ビヤーキー等。
 ダーレス先生、コウモリの羽を持った怪物……というだけの描写ではよくわかりませぬ。

−Great Race of Yith−
 H.P.ラヴクラフト著:時間からの影・他

 "イースの大いなる種族" もしくは "イスの偉大なる種族" 等。
 円錐状の体の突端から4本の管が伸び、二本はハサミのある腕、一本は口、一本は感覚器官の集合体――という生き物に憑依していた精神寄生体。
 ある時期に、その体を捨てて、未来の蜂型生物に憑依し直したそうな。

−アルビノペンギン−
 H.P.ラヴクラフト著:狂気の山脈にて・他

 アルビノの巨大なペンギン、という記憶だけを元に左図を描いたモノの、
「知られているキングペンギンの最大のものよりも大きい、未知の巨大な種で、

 白化とまったく眼のないばけものじみたものであるにせよ

 とあったので修正。
「目が無用な単なる穴になってしまうまで退化」とある。
「退化」というからには穴といってもシュリュズベリィ博士のような空洞ではなく、へこみなんじゃないかなぁと思う。
 でも、世間的にはぽっかり空いた穴という解釈っぽい。

−Nyalrathotep−
 オーガスト・ダーレス著:闇に棲みつくもの・他

 読みはナイアルラトホテップ/ニャルラトテップ/ニャルラトホテプ他。
 一部での通称ニャル様。

 這い寄る混沌、燃える三眼、閉じた箱、闇に咆哮する影、暗黒のファラオ等々、異名が多いようで。

 千の顕現を持ち、あらゆる時空にあらゆる姿で存在できるもの……らしい。

−ベタ−

 闘魚。
 縄張り意識が強く、同じ水槽に雄を複数入れると、双方ボロボロになるまで闘うらしい。

 観賞用に改良されたベタはショーベタと呼ばれるそうな。

−バシリスク−
 コカトライス in モントセラト ver.

 モントセラトで1996年に発行されたらしい、50c切手の図案から。

−バシリスク−
 王冠トカゲ ver.

 頭に王冠のような〜という記述があるとはいえ、まんま王冠乗っけちゃった中世のヨーロッパセンスは凄い。

−カピバラ−

 世界最大の齧歯類らしい。
「肉は美味」(三省堂提供「大辞林 第二版」より)
 食べるのか、これ。

−麒麟−
−大歓喜天(ガネーシャ)−

きりん 0 【▼麒▼麟】
 中国古代の想像上の獣。体は鹿(しか)、尾は牛、ひづめは馬、額は狼。頭に肉に包まれた一本の角があり、体の毛は黄色、背には五彩の毛がある。翼をもってよく飛び、生草は踏まず、生物は食わないという。聖人が出て王道が行われた時に現れると伝えられる。一角獣。〔一説に雄を「麒」、雌を「麟」とする〕
三省堂提供「大辞林 第二版」より


ガネーシャ (gaNeza)

 ヒンドゥー教の神の一柱。その名はサンスクリットで「群衆(ガナ)の主(イーシャ)」を意味する。同じ意味でガナパティ (gaNapati) とも呼ばれる。
 日本の仏教では、歓喜天(聖天)と呼ばれ仏(ほとけ)のひとりとして含まれている。
出典: 『ウィキペディア(Wikipedia)』

かんぎ-てん くわん― 3 【歓喜天】

〔梵 Nandikevara 大聖歓喜自在天の略〕仏教守護神の一。もとはヒンズー教の神であったがのち仏教に帰依。人身象頭で、二天が抱擁しあう像が多い。除災・富貴・夫婦和合・子宝の功徳ある神として民間信仰が盛ん。大聖歓喜天。聖天。
三省堂提供「大辞林 第二版」より